ハンドルノブカスタム講座 その2. ハンドルノブの互換性について
シマノ・ダイワのハンドルノブの大きさの違いについて
一般的な1000番~4000番クラスのリールには普通サイズのノブがついています。
これらのノブを、「シマノ Aタイプ」「ダイワ Sサイズ」と呼びます。
例)14ステラ C3000XG 「シマノ Aタイプ」 | 例)16セルテート 2510RPE-H 「ダイワ Sサイズ」 |
ステラSWやソルティガなどの大型のリールには、大きなノブがついています。
これらのノブを、「シマノ Bタイプ」「ダイワ Lサイズ」と呼びます。
例)08ステラSW 8000HG 「シマノ Bタイプ」 | 例)10ソルティガ 5000H 「ダイワ Lサイズ」 |
「シマノ Aタイプ」のリールに、「シマノ Bタイプ」のノブは取り付けできません。
「ダイワ Sサイズ」のリールに、「ダイワ Lサイズ」のノブを取り付けすることもできません。
なぜそうなのかを、詳しく見ていきしましょう。
シマノのハンドルノブシャフトの構造
左側が「シマノ Aタイプ」、右側が「シマノ Bタイプ」の純正ハンドルを分解した写真です。
分かりやすくするため、調整ワッシャー類は撮影していません。
ポイントは、「ノブシャフトの長さ・太さ」と装着されている「ベアリングの大きさ」です。
左側の「Aタイプ」は、
ノブシャフトの根元の膨らみ部分の上部から計測します。
太さは4mmで、740ZZ(内径4mm×外径7mm×厚さ2.5mm)のベアリングが根元と先端部分に2個装着されています。
右側の「Bタイプ」は、
「Aタイプ」よりも、ノブシャフトが長くて太く、ベアリングも大きなものが装着されています。
ノブシャフトは、根元が太さ5mm、先端が太さ4mm
ベアリングは、根元が950ZZ(内径5mm×外径9mm×厚さ3mm)、先端が940ZZ(内径4mm×外径9mm×厚さ4mm)です。
「Bタイプ」の方が、「Aタイプ」よりも、ハンドルノブ部分の構造が太く大きくなっています。
シャフトの全長も、両方を見比べると随分長さが違います。
これで、両者の間にハンドルノブの互換性がないのが判断できますね。
また、自分のリールが「Aタイプ」なのか「Bタイプ」なのかは、ハンドルノブを分解して見れば、写真の様に一目瞭然です。
続いてダイワのリールも見てみましょう。
ダイワのハンドルノブシャフトの構造
左側の「ダイワ Sサイズ」は、
ノブシャフトの太さは4mmで、740ZZ(内径4mm×外径7mm×厚さ2.5mm)のベアリングが
根元と先端部分に2個装着されています。
ベアリングのサイズはシマノ Aタイプと同じ構造ですね。
右側の「ダイワ Lサイズ」は、
ノブシャフの太さは5mmで、850ZZ(内径5mm×外径8mm×厚さ2.5mm)のベアリングが
根元と先端部分に2個装着されています。
やはり、「Sサイズ」よりも、「Lサイズ」の方がベアリングもシャフトも、大きくて長いものが装着できる構造になっています。
「シマノ Aタイプ」・「ダイワ Sサイズ」に取り付け可能なハンドルノブは、上記ページからご確認下さい。
ハンドノブの素材ごとに見やすくまとめています。
「シマノ Bタイプ」・「ダイワ Lサイズ」に取り付け可能なハンドルノブはそう多くはありません。
上記ページでは、オフショア用だけをまとめて掲載しています。
シマノ・ダイワの共用ノブについて
それぞれのベアリングやシャフトの大きさの違いについては理解できたと思いますが、
「シマノ Aタイプ」と「ダイワ Sサイズ」は、どちらも同じ740ZZ(内径4mm×外径7mm×厚さ2.5mm)
というサイズのベアリングを2個使用していますね。
それでは、シマノのハンドルにダイワのハンドルノブを取り付けできたり、
その逆に、ダイワのハンドルにシマノのハンドルノブを取り付けできるのか?
という質問が多いのですが、実際はそのままでは取り付けができません。
では、その理由を見ていきましょう。
ノブシャフトのベアリングの距離を合わせる
左側が「シマノ Aタイプ」、右側が「ダイワ Sサイズ」です。
注目してほしいポイントは、シャフトの根元部分です。
シマノの方は根元に数mmの膨らみがあり、その膨らみの部分にはベアリングがはまらないので、
ベアリングの装着される位置が、根元ギリギリではなく、膨らみの上部になります。
ダイワの方はシンプルに根元部分にそのままベアリングが装着されます。
シャフトの全長ではなく、根元のベアリングから先端までの距離感を見てほしいのですが、
ピンクの線で示した様に、シマノの方が短く、ダイワの方が長いという構造になります。
上の図は、ハンドルノブ内部の構造を簡単にイラスト化したものです。
ハンドルノブのどこにベアリングが収まるようになっているのか、わかりますか?
このため、一見すると同じような構造に見えても、
シマノとダイワの両者に、ハンドルノブの互換性は無いということになります。
しかしながら、多くのカスタムメーカーのハンドルノブは、
シマノ・ダイワ両対応となっているものがほとんどです。
何故、それが可能なのかを、見ていきましょう。
調整カラー・ワッシャー類の使い方
一番シンプルなAvailの場合の調整カラーの使用例です。
カスタムメーカーのハンドルノブを購入すると、調整カラー・ワッシャーと呼ばれる、
樹脂や金属の厚みのあるパーツがいくつか入っています。
このパーツをシャフトやハンドルノブに取り付けすることで、シマノ・ダイワに両対応することが可能になります。
Availの調整カラーをダイワのハンドルに取り付けし、ベアリングもセッティングした例です。
いかがでしょうか?
ダイワの根元部分に、擬似的に調整カラーで膨らみを持たせることで、ベアリングの装着位置を底上げし、
シマノ・ダイワのベアリングの距離感が一緒になりました。
これによって、ダイワのハンドルにも、シマノのハンドルノブが取り付けできるようになったのです。
ハンドルノブ交換のポイント
・純正ハンドルのシャフトは、シマノが短く、ダイワが長い。
・ダイワのハンドルシャフトの根元に調整カラーを入れることで、
擬似的にシマノのシャフトと同じ様な構造にすることができる。
・ハンドルシャフトは、長いものを擬似的に短く(ダイワ→シマノ)はできるが、
短いものを長く(シマノ→ダイワ)することはできない。
(シャフトの根元の膨らみを削る訳にはいきませんよね?)
・ダイワのハンドルノブシャフトであれば、
ダイワのハンドルノブの場合は、そのままノブを装着。
シマノのハンドルノブの場合は、付属の調整カラーを組み込めば装着できる。
・シマノのハンドノブシャフトの場合は、
シマノのハンドルノブしか取り付けできない。
(よくある質問:シマノの純正ハンドルに、ダイワのコルクノブやザイオンノブは取り付けできますか? → できません。)
※以上は基本的な例ですが、カスタムメーカーによって考えは異なり、
すべてのメーカーが上記の様な設計になっているとは限りません。
実際はカスタムメーカーごとに使用している調整カラーなどの種類は大きく異なりますので、
詳しくは、各カスタムメーカーの取扱説明書をご覧下さい。
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