KAKEDZUKA DESIGN WORKS・欠塚です。
前回はリールパーツに使われる材料として非常にポピュラーなのがジュラルミンだというお話をしました。
そのジュラルミンには沢山の種類があるのですが、今回はパーツによってどのジュラルミンが使われてるのかをお話したいと思います。
リールパーツには大きく分けて二つあり、ひとつはリールの性能に直接関わる機能パーツ。
もう一つはリールの見た目を華やかにするドレスアップパーツです。
その両方を兼ねているパーツもありますが、ここでは二つに大別して考えていきますね。
まず機能部品ですが、代表的なのはやはりスプールでしょうか。
ベイトフィネスなどが全盛な時代ですが、これはスプールの功績が非常に大きいですよね。
極限まで薄く、そして精度を出すためには材質自体に強度が求められます。
だからといって重い素材ではダメなので、必然的にジュラルミンが採用される訳ですね。
マグネシウム
ちなみにリールのフレームなどに使われているマグネシウムという金属があるのですが、現在このマグネシウムが最も軽い金属という事になってます。
しかし切削加工の際に発火の危険がともなうので、そのリスクを考えると末端価格は相当に跳ね上がってしまいます。
そして極限まで薄く作った時に強度を出せるのかもわかりませんので、そこの検証からとなると、よほどの大企業でないと手を出せないでしょう。
そして現在、そのマグネシウムを採用したスプールを作ってるメーカーは無いはず(自分が知らないだけであるとしたら失礼しました)。
補足:マグネシウムスプール製スプールを販売しているメーカー並びにノーマルでマグネシウム製スプール搭載機種があるそうです。自分の認識不足でご迷惑をおかけしました。訂正してお詫びいたします。
大手メーカーがマグネシウムスプールに着手しないという事は、あまりのハイリスクローリターンに収益を期待できない、というのが本音ではないでしょうか。
それだけ今のジュラルミンは信頼性が高いんですよね。
超超ジュラルミン
自分が個人的にもお付き合いのあるカスタムパーツメーカーのAvail。
そのAvail製品の多くは超超ジュラルミンと呼ばれる最高強度のジュラルミンを採用したものです。
自分も使わせてもらってるスプールやハンドルやスタードラグが有名なところですね。
特にスプールは最高基準の精度で切削加工されており、自分が知る限り世界最高レベルの製品を製作されてます。
超超ジュラルミンとはJIS(日本工業規格)で認定された中でスペック的に最も強度があるとされているA7075と呼ばれる金属です。
ちなみに現在Daiwa社で採用しているG1ジュラルミンというのはJIS規格ではありません。
スペックの上では超超ジュラルミンを上回ってるという事ですが、その配合などの詳細はトップシークレットとして表には出てきません。
大手鉄鋼メーカーの自社規格という事になるんでしょうね。
まあ、どのみち一般企業では入手できませんので、これについては関係者以外は触れない部分です(笑。
A2017
現在KAKEDZUKA DESIGN WORKSで最も使用頻度が高いのがA2017、通称17Sと呼ばれるジュラルミンです。
強度に関しては超超ジュラルミンを下回りますが、通常のアルミ素材に比べて表面高度も引っ張り強度も高レベルにあるジュラルミンですね。
超超ジュラルミンに比べて価格的にもリーズナブルで、ドレスアップパーツや質量的にそこまで薄く作る必要の無いものであれば、このA2017で必要十分という事になります。
例えばクラッチであるとか、レベルワインドキャップなどはA2017で製作しています。
工具を使って強く締めこんだりする部分であれば、もっと強度のある素材が望ましいのですが。
リールによっては純正部品が樹脂である事を考えると、ジュラルミンにする事で相当な耐久性アップが期待できると思います。
最近ではスピニングリールのハンドルスクリューキャップがA2017を採用してます。
こちらもドレスアップパーツですから、過度な強度で価格が上がり過ぎない事を考えてます。
今回はこのへんで。
次回は素材と加工についてお話する予定です。
| | Written by 欠塚 実 東京都足立区の町工場で日々ものづくりに励んでます。 リールのカスタムパーツをデザインから設計、サンプル製作、そして時には自分でフィールドテストもします。 NBC房総チャプター(亀山ダム)にも参戦中です! Blog KAKEDZUKA.com http://kakedzuka.com/ |