カスタムパーツ工場の下仕事 (下)

みなさんこんにちはKAKEDZUKA DESIGN WORKS・欠塚です。

 

前回に引き続きリールカスタムパーツの製造現場について書かせてもらいます。

 

さて、前回はジュラルミンを削って形にするまでの下仕事について書きましたが、今回はその続きからですね。

 

リールカスタムパーツにはカラーが着いてますが、そのカラーはアルマイトという表面処理をしたものなんですよ。

 

 

アルマイトメッキと呼ばれる事もありますが、表面を腐食させるという意味ではそうなのかもしれませんね。

 

で、そのアルマイト処理を施すのには下処理がとても大事なんです。

 

切削後の品物に不純物が残ってるとキレイに発色しない事があるんですよ。

 

なので切削油をキレイに落としてやらないとダメなんですよね。

 

表面酸化皮膜との戦い

 

アルミ系の金属もステンレスと同じで、基本的には鉄のように錆びたりしません。

 

これは純アルミニウムの場合水に濡れたりすると腐食する事がありますが、アルミ合金であるジュラルミンは錆びは発生しにくいんですよ。

 

ただし、それは表面に酸化皮膜ができる事を意味してるので、これが厚く貼ってしまうとアルマイト処理に影響が出てしまいます。

 

なので、ジュラルミンを切削した後は、アルマイト処理業者に出す直前まで脱脂処理はしません。

 

 

すべての予定数量を削り終わってから一気に脱脂をしてやります。

 

この時酸化皮膜は空気に触れない限り形成されないんですよ。

 

まあ、理屈上という事ではありますが(笑。

 

三度洗い

 

ここでは特殊な薬品を使って切削油を除去します。

 

その際には合計3回洗う?事になるんですよね。

 

一回目は洗い古しの液で大まかに付着した油分を洗ってやります。

 

 

二回目はキレイな薬品で洗ってやって、この時ほとんどの油分や不純物を取り除いてやるんですよ。

 

 

そして仕上げに新品状態の薬品で洗ってやります。

 

まあ細かいノウハウはあるのですが、それはトライ&エラーを繰り返して見つけた黄金の方程式があるので内緒です(笑。

 

いやいや、まだまだ日々勉強ですから、もっと良い方法があるんだと思うんですよね。

 

完全乾燥

 

最後に乾燥させるんですが、これは地味にヘアドライヤーでやってます(笑。

 

 

でもこれが一番間違いないんですよ、いまのところ。

 

ここで人の目で見て判断するのが良いんですよね。

 

不純物が残ってたりすると、乾燥させた後にわかるんですよ。

 

するともう一回洗浄して、また乾燥させる。

 

これの繰り返しです。

 

まあ3回洗浄したらまず大丈夫ですけどね(笑。

 

そして最後の仕上げに冷風で温度を下げて完了です。

 

決して結露させてはダメなんですよ。

 

これでアルマイト加工前の下処理は終わりです。

 

この後製品同士が擦れないように専用の仕分けケースにいれて業者に出します。

 

そんな感じでカラーパーツが完成するんですよ。

 

 

 

Written by 欠塚 実

東京都足立区の町工場で日々ものづくりに励んでます。
リールのカスタムパーツをデザインから設計、サンプル製作、そして時には自分でフィールドテストもします。
NBC房総チャプター(亀山ダム)にも参戦中です!

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